四大貴族 エルフィール家

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「おいおい、そんなガキを冒険者にさせるのかよ? こいつはお笑いだぜ!」 どうやら此処は酒場でもあるらしく、奥で酒を呑んでいたスキンヘッドの大男が馬鹿にするように声を上げながら近づいてきた。 「そんなガキ役にたちゃぁしねえだろうがよ。 まあ、見てくれは良いから精々観賞用のペットだな? ふははははははっ!」 酒の所為も多分にあるだろうが、それでも不愉快な男に構うのも面倒だとザッツが感じた時、海がゆっくりと動いた。 「なんだ、お嬢ちゃん、酌でもしてくれるのか?」 海はそれに答えず、緩慢な動作で右手の掌を男の腹に当て・・・ トスッ・・・ 零距離で掌底を放った。 傍目には海の全身が軽くぶれた様にしか見えず、また海も強化された分の腕力は使っていないので男は微動だにせず、技を仕掛けた事に気が付いたザッツでさえ効果が無いと判断した。 だが、 「なんだ、じょ・・・お・・・うげええええぇぇぇぇぇぇぇ!!」 男は突如顔を歪めたかと思うと、腹を押さえながら床をのたうち始めた。 海が放ったのは日本で浸透勁と言われる中国拳法の一種で、敵の内部・内臓に直接ダメージを与える技である。 徒手空拳での技術がそれほど進んでないこの大陸において、この技の正体がわかるのも使えるのも海しかいない。 海はのたうちまわる男の首根っこを掴むと、今度は強化された腕力をいかんなく発揮、店の最奥の壁まで投げ飛ばした。
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