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「ごめんごめん、ちょっと意地が悪かったわね。
遊びはちょっと言葉が悪かったけど、大筋では間違ってないわよ?
海ちゃんの人となり、そしてその力を見極めておかないとね。
これは冗談じゃなくて、この国を、五大国を……いえ、世界の行く末を決めるかも知れないからね?」
「……はぁ……、海さんが……ですか?」
フォーリナリアの言葉に、しかしシルフィオナは『何を言っているんだろう、この人?』と疑問をその表情に滲ませる。
その反応にフォーリナリアも首を傾げた。
「あらら? もしかして神器の事知らないの、シルフィちゃん?」
「神器? もしかして、海さんが持っている魔法武器の事ですか?」
「……ふぅ~ん、エルフの子供たちを保護してるって聞いたから、知っているものと思ってたけど……そうね、よく考えればそう簡単に口に出せるものでもないかもね」
……神器が所有者の手に渡る時、それは世界の変革の時。栄えるか滅びるか、神器の所有者はその分かれ道で選択を迫られる。
フォーリナリアは城に残る過去の貴重な文献と、独自の情報から得た知識を繋ぎ合わせて神器の知識を得た。
故に彼女は考えたのだ。もし神器の所有者が悪しき心と力を備えた者であるなら、その選択によっては……世界が滅ぶかもしれない。
その為に今回のような無茶な作戦を実行したのだ。
そしてフォーリナリアの言う通り、エルフのエレンは神器についてシルフィオナに教えていない……と言うよりも、里の中でも若く幼い故に知識が足りないと言った方が正しい。
海に教えた事に関しても、使い手を選ぶ事や神力を纏う等事ぐらいだけ。
まぁ、結果としてはシルフィオナが知らない事に間違いはないのだが……
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