試す者、試される者

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「それから海ちゃんには、これ!」 「……?」 フォーリナリアが取り出したものを海に向かって放り、危なげなくそれを右手で掴んだ海が見たのは鞘に収まった短剣。 実用的なものではなく、華美な装飾の施された儀礼用の短剣で柄にファールス王国の紋章が彫り込まれている。 「それがあればお城に入り放題だし、国内外でもそれなりに便宜を図って貰うことが出来るわ。 それから私の部隊の一部も好きに使っていいから。 ま、今回のお詫びとお礼と今後もよろしくの粗品ってところかしらね」 「姫様、そういった物は簡単にお渡しする物では……」 フォーリナリアが渡したのは自身の権限を代行して行使できる、本来は他国との交渉事の際に勅使などが渡される重要な物。 それをアッサリと渡すフォーリナリアにアレイディアは頭を抱える……アレイディアの苦労が忍ばれるような場面である。 「じゃまたね、海ちゃん、シルフィちゃん。 今度は美味しいお菓子でも食べながら親睦を深めましょう……海ちゃんに関しては剣でも良いけどね?」 「……めんどい」 海の返答を聞いているのかいないのか、笑顔で手を振って悠々と正門へと向かうフォーリナリア。 「本日は大変申し訳ありませんでした。 後日改めて謝罪とお詫びに伺いますので、今日はこれで失礼させて頂きます」 再度深くその場の一同に一礼し、アレイディアもその後を追って行ってしまった……
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