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「な、何だったんでしょうか……?」
力無く呟くシルフィオナに答えは返ってこない。
いつの間に結界も消えているし、使用人の幾人かが屋敷の方から近づいてくるのが見える事から、他のアレイディアの手下も撤退したのは間違いないだろう。
「便利な物貰ったから別に良い。それよりも……」
呟いた海は言葉を途中で切って大きく欠伸し……
「疲れたから、寝る……」
目尻に溜まった涙を手で拭い、心底眠そうな声と表情でそう宣言したのだった。
SIDE フォーリナリア&アレイディア
エルフィール邸を後にし、黒衣を脱いで控えさせていた馬車で城へ向かう二人。馬車の中では機嫌が良いフォーリナリアと疲れた表情のアレイディアが海について話し合っていた。
「可愛かったわね~、海ちゃん。
それにとぼけた顔して抜け目なさそうな所が堪らないわ~。
ああいう子なら幾らでも力を貸したくなっちゃうわね」
「かと言って勅使の短剣を渡すのは如何なものかと思いますが……」
「あら、何言ってるの? 前もって恩を売っておけば、ここぞって時にうまく立ち回れるでしょ?
まだまだ神器の力は発揮していないようだけど、もしもの時にこちらに矛先を向けられたくないしね。
それに海ちゃんって色々魔法の情報を集めてるみたいだし、こちらの情報網を使えばそれを通してあの子の目的もわかるわ」
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