一行、南へ

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そんな計5人プラス一匹が乗っているのは乗合馬車。 グラストの王都まではガルーダで早かった上に貴族の賓客待遇で楽だったのだが、さすがにそこからフォレスタまでは一般的な交通機関に頼るしかなかった。 もっとも旅慣れたザッツやカール、とりあえず寝る場所さえ確保できれば良い海は多少揺れようが時間がかかろうが問題なかった。 だが長期の移動に慣れていないエルフの姉弟は、疲れる上に無用な騒ぎを起こさないよう常にローブで顔(というか耳)を隠さないといけないので大変だったようだ。 だがそんな一行の旅もようやくその終わりが目に見えてきた。 「オイお嬢、そろそろ町の入り口だ。衛兵のチェックが入るから起きとけよ」 「ちょっと! 海様になんて起こし方するんですか!」 海の頭を片手で鷲掴みにしてガクガク揺らすザッツに、エレンが悲鳴に近い声をあげる。 「仲が良くて結構じゃの、ふぉっふぉっふぉ」 「うん、そうだね」 「キュ~」 ここ最近お馴染みになった光景に、他の2人と一匹は特に慌てもせずにのんびり外の景色を眺めるのだった。 ===== === =
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