一行、南へ

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街門での検査を受けフォレスタ入りを果たした一行。 フォレスタは町の規模こそ大きいものの、それ以上に広く深い大森林が傍にあるからか王都などに比べて建物も密集してなく、人通りも穏やか…… 「ふむ、妙じゃの……?」 乗合馬車を降り、宿を取るために移動する一行。 近いとは言っても森は歩いて直ぐという場所でもなく、またいくらエレンとカイルがいると言ってもある程度段階的に接触したほうが良いとのカールの意見もあり、元々のカールの案でエルフと付き合いのある商人を頼ることに。 その為、拠点となる宿を取っておこうと移動を始めたのだが、直ぐにカールが辺りを見回しながら首を傾げた。 「どうにも人通りが少なすぎるのぉ……そのうえどやつも得物を腰から下げた者ばかりじゃ。 森から獣等が町に近付く事も少なくはない町じゃったが、このような物々しい感じではなかったはずじゃがのう……?」 「だな。俺も一度来た事があるが、もっと牧羊的っつうか、よそ者でも平気で受け入れる温かみのある感じの場所だったぜ。 今はこう、なんつーか…………何かに怯えてるみてーだな」 「……ギルドで聞いてみる?」 カールとザッツの会話に珍しく建設的な意見を自分から投げかける海。 彼女も何処となく、フォレスタを包みこむ、異様な雰囲気を察しているのかもしれない。 ちなみに海とザッツのパーティ『眠り姫』は高ランクのパーティとして各国のギルド間でも情報を共有されているので、ギルドに行けばそれなりに優先して各種情報をもらう事ができる。 海に関しては色んな意味で規格外の超新星なので、逆に聞かれる立場かも知れないが。
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