一行、南へ

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クイックイッ 「……ん?」 海が服の袖を引かれ振り返ると、エレンがやたら周りを見回しながら海に身を寄せるようにして囁いてきた。 「海様、この町……妙です。彼方此方から神気を感じるのですが、その神気が、何と言えば良いのか……穢れているような感じがするのです。 こんなおかしい感覚初めてなので上手くは言えませんが、この町には長居しない方が良いと……」 ドォゴォン!! 『ゴオオォォォォォーーッ!!!』 その時、まるでエレンの忠告を切り裂くように破壊音と共に獣の雄叫びが響き渡った。近くではないが、そう遠くでもない。 海達は一時驚きで動きを止めるが、町に巡回していた衛兵はまるで予想していたかのように一目散に走り出していく。 「じいさん、ガキ共頼むわ! 俺達もちょっくら様子見てくるからよ!」 「あんまり無茶するんじゃないぞ?」 「……いってら~」 「お前も行くんだよ!」 手を振って送り出す側にいた海を猫の様に軽々掴み、衛兵達の後を追うザッツ。やっぱりね~っと肩を竦めながら運ばれる海。 エレンとカイルは心配気にその姿を見送るのだった。
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