一行、南へ

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「……何アレ?」 「いや、俺も初めて見るな、っつうか気持ち悪いな、オイ」 ザッツも気味が悪そうに答えるが、その手は得物である戦斧を既に握っている。衛兵に加勢しようというのだろう。 異形の魔物は見た限り5体、対して衛兵は10人ほどと人数の上では有利だが、相手の異様さと傷ついた衛兵の様子を見れば劣勢であることは明らか。 だがザッツや海もこの場にいるし、他からも兵や町にいる冒険者が集まってくることは容易に推測できる。 そう考えればそれほど酷い状況では…… ミチッ… 「……なに?」 小さく響いた異音―まるで何かが内側から膨れ上がるような―を聞いた海。 周囲に目を回すと、異形の魔物に対峙する衛兵の後方、そこにネズミが一匹。 だがこのネズミ、確かめるまでもなく全身から血を流し事切れて…… ブチッ! ミチブチブチブチミチミチブチ!!! 突如ネズミが、内側から膨れ上がった。 明らかに体積を超える量の肉が内側からあふれ出し、周囲に鮮血をまき散らしながら膨張を続ける。 まるで動画の早回しのような速度で膨れ上がったそれは、瞬く間に今しがた目に焼き付いたばかりの形……異形の魔物と同様の姿に変わり果てた。 「やべっ!」 「ヴォルプス…」 「ウォン!」
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