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新たに出現した異形の魔物に挟まれる形となった衛兵が2人いるが、後ろとは多少距離があるのと目の前の魔物の対処に集中していて気が付いていない。
だが現れた異形の魔物はそんな2人を獲物と捉えたのか、出鱈目な歩き方ながら襲いかかろうとする。
『グルアァァァァ!!』
『え…?』
その雄叫びで初めて気が付いた2人の衛兵、咄嗟の事に対処が遅れ振り下ろされた爪を見つめるのみ……
ギンッ!
が、それを防ぐのは異形の魔物が狙いを定めるより早く状況を予測していた、ザッツの戦斧。
振り下ろされた爪、その腕は他の部位よりも筋肉が膨れ上がり力も段違いで強いのであろうが、ザッツはそれを受け止めても微塵も揺るがない。
「はっ! この間のデカトカゲよりも全然軽いな!」
ザンッ!
軽口を叩くザッツと押し切ろうとする異形の魔物、そこにヴォルプスを剣にして同じく走りこんだ海が、速度を保ったまま走り抜けざまに胴を薙いだ。
『グアァ…!?』
痛みを感じるほどのまともな痛覚すらあるのか不明だが、異形の魔物は困惑したかのような鳴き声を出すと上半身と下半身が分かれて地面に転がった。
そしてその頭部に戦斧を素早く振り下ろすザッツ。
この手の不鮮明な相手にやり過ぎる事はないと、経験上知っているのだ。
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