一行、南へ

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実際、中には首だけになってもしばらく生きている魔物も存在する。 体を分割され、その上に頭まで砕かれた異形の魔物。 だがその死体は自然の摂理に逆らった事を証明するかのように、瞬く間に砂の様に分解され風に消えてしまった。 その様子を気が抜けたように眺める衛兵2人だが、 「オイ、気を抜くんじゃねえ!」 ザッツの叱咤で我に返り元々相手をしていた異様の魔物に向き直る。 まだ戦いは終わっていない、残りは5匹……いや、今の現象を見ればまだまだ増える可能性があるのだ。 気を抜いている暇など一瞬も、いや、抜く時は死ぬか戦いが終わったときだ。 「お嬢、気を抜くんじゃねえぞ!」 「へ~き……ふぁう」 だがそんな戦場においても、戦意を滾らせるザッツに緩い表情で眠そうに欠伸をする海。 2人は各々の武器を構え、異形の魔物の殲滅にかかった。 ===== === = 町に突如出現した異形の魔物、これら掃討が終わったのは……いや、“取り敢えず”の掃討が終わったのはそれから約一時間後だった。 戦闘自体は敵の攻撃に力負けせず戦斧で叩き伏せるザッツと、尋常じゃない速度で巨大な剣を振り爪でガードされようがそれごと切り伏せる海。
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