一行、南へ

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この二人という衛兵にとっては未知にして圧倒的な戦力により、危なげなく残り“五体”の異形の魔物を掃討していった。 ……そう、“五体”は、だ。恐らく容易に想像しながらも不安故考えようとしなかった事、つまりは新たな異形の魔物の出現である。 鳥、ネズミ、犬、猫などの比較的小さな動物がまるで狙ったかのように次々と異形の魔物に変わっていく。 無制限、広範囲と言う訳ではなく、最初に異形の魔物が出現したと思われる周辺にしか現れないのは守り手にとっては不幸中の幸いだが、負担が増えるのは間違いない。 海とザッツ、そして他から援護に加わった衛兵が倒した異形の魔物の数は合計で17匹……つまり、あれから11匹また出現したのだ。 幸いと言うべきか皆疲労の色が濃い(海とザッツは一番動いたのに平然とし、ザッツはともかく海見て皆唖然)が、死者や命に関わるような重症を負った者は皆無だった。 そしてその場の事後処理となるのだが、ここでザッツが高ランク&有名な冒険者である事に気がついた衛兵の一人により、海とザッツは町長の屋敷へ呼ばれる事に。 恐らく事態の説明と何らかの協力を要請されるだろうと踏んだザッツによって、一度は合流したエレンとカイルを再びカールに預けることになった。 エルフがいるとなればいらない誤解を招く可能性がある、そう考えた故の配慮だ。 ……ちなみにこの時、面倒なのでザッツに任せてバックレようとした海は、またもや首根っこを猫のように引っつかまれていた。 流石に海との付き合いが一番長いだけあるザッツだ……まぁ、流石に当事者を逃がすわけにはいかないのだが。 そして、衛兵に案内されるまま町の南に位置する、他よりもやや大きな家屋にたどり着いた。
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