一行、南へ

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気分を害した程ではないが呆れるサランをコリンズが宥める。 ザッツとてただ面倒で話を進めようとした訳ではない。なぜなら……ソファーに座っている海が眠そうな顔をしていたので、早目に話をするべきだと思ったからだった。 もっともコリンズにとっては話が早いのは助かるようで、早速話を切り出してきた。 「では手短に話しましょう。実は数日前から町に奇妙かつ危険な現象、つまり御二人が遭遇した小動物が魔物に変わる現象が発生しているのです。 幸いいつも人通りの少ない場所に現れるおかげで、死者こそは出ていませんが衛兵にはかなりの負傷者が出ています」 「町に居合わせた冒険者も同じさ。この数日間あの魔物に対処するために衛兵に加勢して、結構な怪我人が出ている。 おかげで町の防備も間に合わず、都の方へ救援と事態を解決できそうな人材を探してくれるような旨を送っているのさ」 そう語る二人の顔には疲労が滲み出ている。 おそらく対処に追われてろくに休みも取れていないのだろう。 そして、数日前に発生・救援を頼んだと言うことは、タイミング的に海一行がこの町に向かっているのと入れ違いになったはず。 おそらく海達が馬車に乗った前の町では、既にこの事は一般にも知られ交通にも制限が掛けられている可能性が高い。 「あー、なんだ。つまりは俺達に救援が来るまで町の警備に協力しろって事か?」 先の流れを呼んで発言したザッツだが、しかしコリンズは首を振る。 「それも考えたのですが、救援隊が組織され来るまで恐らく数日はかかるでしょう。 この町は広い、いくらお二人が強いと言ってもいつどこで発生するかわからない魔物に対処するには手が足りません」 確かに今回は偶々近くに海達がいたに過ぎないし、移動速度にも限界はある。
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