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受付嬢はそれを受け取ると書類に目を通す。
職業意識によるものか、先程までの取り乱した様子は鳴りを潜めていた。
冒険者の申請用紙に記入事項は少ない。
精々、名前や性別・年齢くらいで文面のほとんどは国や自分の生死に関する同意書なのだ。
「・・・はい、確認しました。ウミ・ハルノさんですね?
では、こちらをお受け取り下さい」
薄い金属製のカードを渡されるも、生憎と海には何が書いてあるのかはわからなかった。
「依頼の受注や報酬の受け取り、ギルド内でのランクを保障する物なので失くさない様にして下さい。
ギルドについての説明は必要ですか?」
「・・・・・・おねがいします・・・」
「畏まりました。ギルドでは個人・団体・国などから依頼を受け、それを冒険者の皆様に仲介しております。
ギルド内で受けられる依頼は職員によりランク分けされます。
ランクはS・A・B・C・Dの五段階に分けられ、冒険者のランクも同じく五段階に分けられます。
依頼を受ける際は、自分のランク以上の依頼は受けられないのでご注意下さい。
ランクの昇格関しては、実績を元に職員内で決定して報告致しますのでご了承下さい。
ウミさんのランクはDからのスタートなります。
・・・他にお聞きしたいことはお有りでしょうか?」
「・・・・・・とりあえず、ない・・・」
「畏まりました。あなたの行く先に幸あらん事を」
ウミが満足気に頷くのを見てホッと息を吐く受付嬢。
そこにザッツが口を挟んだ。
「俺とお嬢でパーティ組みたいんだが、そっちでも登録してくれるか?」
「!!?? パーティ? ザッツさんがですか!?」
驚いたのは受付嬢だけでなく、その場に居た冒険者全員が色めき立った。
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