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サランはその様子に少しだけ引っ掛かりを覚えたようだが、取り敢えず流して話を続ける事にした。
「エルフがするような所業とは思えないが、無視は出来ないからね。
関係してなくともその人形遣いの行方は追わねばならないし、警告もした方がいい。
それにエルフの魔法の知識ならこの現象の正体や対処法も知っているかもしれないからね」
不干渉だのなんだの言ってる事態じゃないからね、と言葉を締めくくるサラン。
「……ここで断るのは寝覚めが悪りぃよな~」
どっちにしろいかねえと行かないといけねえしな、という言葉は飲み込むザッツ。
ザッツや海にとっては半ば旅行気分でやってきたエレンとカイルの里帰りが、随分と深刻な事態になったと溜息ものだ。
だがこの町の……もしかしたらエルフの里すら何かしらの危険が迫っているかもしれないこの状況に、流石の海も面倒臭いとは言わなかった。
「……ん、いこう、すぐに」
そう言ってスクッと立ち上がった海の顔は決意に満ち溢れ……ているわけでもなく、やっぱりいつも通り眠そうだった。
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翌朝、フォレスタの南の門から出発した二台の馬車、そこに海達の姿があった。
いくら急ぎとは言えカール達と合流した頃にはもう日が暮れ始め、それから準備・出発すれば夜の道を進むことになる。
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