一行、南へ

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昨夜、海とザッツが戻ってきてからカールと、それからエレンにだけは事情を説明した二人。 カイルはエレンほど成熟した思考がまだ持てないためエレンのみに教える事になったのだが、正体不明の人物が里に向かったらしいと聞いて動揺を隠しきれてないようだ。 馬車の中にこの四人、海はというと…… 「…………くぅ」 「すげー、御者台で寝れる子なんて初めてみたー」 やや広めの御者台で座った体勢のまま健やかに昼寝する海と、二十代後半ぐらいのやや痩身の男性。 彼の名はバラック、カールの知己でありエルフと取引のある商人で今回の道先案内人…………の息子である。 エルフと交流がありカールと親交があるのは彼の父親だったのだが、父親は件の突然発生する魔物の被害に遭い、現在町を離れて療養中との事。 そこで商売を手伝い出入りのエルフともある程度交流のある息子、バラックへ白羽の矢が立ったのだ。 流石に彼には事情を説明したのだが…… 『エルフの里に入れるかもしれないんでしょ!? 多少の危険があろうといくっきゃないっしょーッ!』 まるでシルフィオナを彷彿させるようなミーハー心による高テンションにより、危険にも関わらずあっさり同行を承諾した。
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