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(・・・・・・オオカミ?)
一瞬判断に迷ったが、結局そのまま加速。
異常に強化された速度にのった蹴りを、女性に飛び掛ったオオカミの横っ腹にぶちかました。
SIDE ジル
ついてない!
必死に走りながら思う。思えば朝からついてなかった。
朝は寝坊するし、飼っている鶏は卵を産まないし、客には文句を言われるし、母の怪我に効く薬草は売り切れてるし、挙句取りに来てやっと見つけたと思ったら黒狼に出くわすなんて!
林を抜けて障害物の無いところに出て、自分の終わりを悟った。遮蔽物の無いところで黒狼の足から逃げ切れるはずもない。
振り向けばもうすぐそこまで迫ってる。
「し、死にたくないっ!」
それだけを祈って、足を進める。でも、人生は無常だ。
振り向いた先で黒い死神が跳躍し、その牙が喉元に到達する・・・
ドゴッ!
・・・直前で、黒い死神は真横にすっ飛んでいった。
SIDE OUT
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