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海が持っていた鞄だ。
左手で鞄をねじ込み牙を封じた海は、右手でオオカミの喉を掴み力を入れる。
ゴキッ! ブォンッ!
オオカミの首を砕きつつ、そのまま背後に迫る最後の一匹に死体となったオオカミを投げつける。
仲間の死体を投げつけられたオオカミは、猛烈な勢いで投げつけられた死体と一緒に吹っ飛ぶも、体勢を整え相手を視界に収めようとし・・・
ザンッ!
・・・・・・飛来した刃に頭を貫かれ、その生に終止符を打った。
その命を奪った刃は、海が常備している十徳ナイフを高速で投擲した物だった。
SIDE ジル
突如現れた見慣れない服の少女は、瞬く間に4匹の黒狼を退治してしまった。
だが、決して恐怖が終わったわけではなかった。
自分よりも一回りは若い少女が、表情を変えず(眠そうなまま)に人外じみた動きで淡々と狩ったのだ。
これが2メートルの屈強な大男なら納得できるが、自分の胸元ぐらいしかなさそうな少女がやったという事実が、不可解な恐怖をもたらした。
よって、近づいてきても全く安心できなかった。
「・・・・・・ねぇ」
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