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「な、なななななな、なに!?」
「・・・・・・・・・・・・大丈夫?」
眠そうだった表情がわずかに歪んで、それが自分を心配してくれているのだと理解したとき、ジルは自分を恥じた。
この子は自分を助ける為に、黒狼の前に立ってくれたというのに。
「・・・・・ありがとう、おかげさまで怪我一つないわ。
お名前聞いてもいいかしら?」
「・・・・・・海」
「海ちゃんか、変わった名前ね?
私はジル、よろしくね」
そう言って手を差し出すと、少女 ― 海も握ってきた。
とても黒狼を倒したとは思えぬ、細く小さい手だった。
SIDE OUT
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