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オオカミ退治から小一時間ほど・・・
二人はジル住んでいるカロカ村まで来ていた。
ジルの説明によると、ここはガーネット大陸のファールス王国らしい。
やはり全然知らない場所で、いつの間にか知らない世界に来てしまったのだと、海は眠そうな表情のままため息をついた。
村に入った早々、ちょっとした騒ぎになった。
ジルはいいとしても、海の服は少々目立った。
どうやらこの世界の文明はあまり発達していないらしく、服は布や麻がほとんどで、海の制服のような化学繊維で出来たものなどなかったからだ。
まあ、それ以上に目立った要因は海が抱えてきた4匹の黒狼の所為だったが。
「お、おい、ジル。お前さん何処に行ってたんだ?
というか、なにやってたんだよ。それ、黒狼だろ?」
「母さんの薬草取りに行ってたんだよ!
そこで黒狼に襲われたところを、その子が助けてくれたのさ」
黒狼を下ろして、欠伸をかみ締め目尻に涙を浮かべる海を指す。
「・・・・・・嘘だろ?」
「・・・・・・私もいまだに信じきれないけどね」
二人して苦笑い。そこで海がやってきた。
「あのオオカミ・・・・・・どうすれば良い?」
「ああ、そうだね。おーい、そこの若い手空きども!
こいつをファンさんのところまで持っていきな!」
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