ヨハネス・ヴォルフガング・フォン・アイゼンシュタインとの日々

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果たして私がこれから旅にでたところで、この悲しみは癒やされることがあるのだろうか…。 私はそう思いながら、馬車に揺られていた。 そして、馬車が一瞬激しく揺れたとき、私の懐から手紙が落ちた。 ああ、忘れていた。 私はその手紙の封をきり、読むことにした。 『フランツへ ごめんなさい、私があなたと仲良くなろうとしたばかりに、あなたをこんな目にあわせてしまって。 …行くあてはあるのでしょうか。 別荘にでも行かれるのでしょうか。 それなら、私も安心なのですが、もし…勘当ということにでもされていたら… 私の胸ははじけてしまいます! フランツ、ごめんなさい、私があなたを愛してしまったばっかりに、でも、あなたに抱かれて、嬉しかったわ、本当よ。 …それで、もしものときのために、私の実家に遣いを送りました。 住所をしたためておきます。 私の実家は今、没落しかけていて、アイゼンシュタイン家のような裕福な暮らしはできないかもしれません。 それでも、野営よりはましでしょう。 お父様は宮廷に懇願にいくことで忙しいので、お母様によく取り入ってください。 お母様はマリー・テレーズ・ド・タリアン お父様はジャン・ジョゼフ・ド・タリアン といいます。 2人とも、優しい方です。 サロンの主人の母には特によく取り入って、その輪にうまく入り、溶け込んでください。 何人かの歌手や芸術家に、母は住処をやってますから、あなたもそうなってください。 何もお役にたてないかもしれませんが… 私があなたを愛しているということだけ、覚えていてくださいね。 ありがとう。 あなたのジョゼフィーヌ』 私はこの手紙を閉じ、ひとまずパリに向かうことを決めた。 パリには美男子と才能ある人物を囲うサロンという文化がある。 とにかく、行けばなんとかなるだろう。 私は御者に言った。 「パリの、マダム・タリアンの館へ。」 「もう向かってます。」 未来は明るい気がした。
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