序章

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「こんばんわ」 不意に声が響いた。 僕は勢いよく振り返る。 そこには女性が一人。 「ふふふ、驚いているようですわね」 女性は日傘を差し、優雅に微笑んでいた。 それだけでもとても神秘的な姿に見える。 「私の名は八雲紫。あなたは?」 「僕のこと……か?」 「あなたしかいないでしょう?」 あまりに突然すぎて、つい聞き返してしまった。 周りを見たが僕と彼女以外には、ただ真っ白な世界が広がっているだけだった。 「僕は…」 戸惑いながらも答える。 「和葉……葵和葉だ」  
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