42人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は少し苛立ちを感じた。
もし真実ならば、それ相応の理由を訊くべきだ。
遭ってしまった人間の人生が狂ってしまうのだから。
「基準? そうね……なんとなく私の目に止まった人間、もしくは強い願いを持った人間、かしらね」
……なるほど。
「……僕はどっちだ?」
「後者ですわ」
僕はホッとした。
こんな訳の分からない輩に、なんとなく選ばれるなんて堪ったもんじゃあない。
しかし、後者となると……。
「……願いが叶うねぇ。……本当か?」
「ええ。もちろん、貴方にその気があればだけど」
彼女の答えはとても魅力的に聞こえた。
自分の願いが叶う。
もしも本当だったら、どれだけ幸せなことか…。
「けどな…僕の願いなんて大したものじゃないし。そもそもここは夢の中なんだろう。それに貴女の言葉が真実である保証もないじゃないか」
「随分と慎重ですわね」
慎重というか、いきなり夢の中に現れて願いが叶うと言われても、胡散臭いだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!