スキマ特急幻想郷行き

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「僕はそっちに……行かなきゃならないんでしょうか?」 正直、答えは予想できている。 夢で終わらせることはできた筈なのに、紫さんはわざわざこうして姿を現したんだ。 きっと僕が何を言おうと、問答無用で連れ去るに違いない。 「貴方の好きなようにしなさい」 …………この妖怪(ひと)は、何が目的で現れたんだろうか。 ここで決定権を僕に与えたら駄目じゃないの? なんだか投げやりだなぁ。 「けれど」 「けれど?」 「幻想郷は全てを受け入れる。それはもう残酷なまでに」 「……へぇ、それは素敵ですね」 全てを受け入れる…か。 それが幻想郷を脅かす者だろうと、向こうはそれを迎えてしまうんだな。 残酷なまでにとは、きっとこういうことを意味している。 かといって僕はそういう存在ではないだろうが。 しかし、紫さんの言葉は僕の好奇心を刺激した。 そして僕は、あることを思い出したのだ。 それは― 『……願いが叶うねぇ。……本当か?』 『ええ。もちろん、貴方にその気があればだけど』 ―幻想郷に行けば、願いが叶うかもしれないということだ。
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