悪夢であってほしい

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悪夢であってほしい

家に着いた時にただ事ではない様子に母親はすぐに気がついたようで 『どうだったの?何か病気だって言われた?』 少し返事するのに時間がかかった。 『何か入院が必要だって…お腹に腫瘍があるって…』 そのあと話することが出来ませんでした。 声を出すと涙が出そうでそれをこらえるだけで一杯一杯… その時電話が鳴りました。母がその電話を取り 『もしもし、はい、そうです。先程は娘がお世話になりまして…ええ、…そうですか…はい、はい、わかりました。それでいつから入院になりますか?…明後日ですか…はい、では明後日そちらに伺います。失礼します。』 なにやら10分ぐらい話をしていました。 そして母親が私に向かって言いました。 『明後日入院だから会社に事情話して休みもらって来なさい。』 『詳しい話は病院に行ったときに説明してくれるみたいだけど卵巣に腫瘍が出来ていてそれがお腹の臓器を圧迫してしまってるみたいで詳しく検査して手術して取った方がいいって。取ってみないと悪性か良性かはわからないからって先生が言ってたわ』 『まぁ大変なことにはなったけどとにかく皆にも話さないといけないからまたあとでね…どうしようかしら…』 母の顔は青ざめていました。 私も何が何だかんだわからない。 お腹に触れてみてもただ膨れてるだけで腫瘍があるなんてわかりません。 私はそのままお風呂に行きshowerを出しながら聞こえないように泣きました。 『なんで…なんでなの。夢であったら醒めて…』
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