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長い時間
待つ…ただひたすら体を動かさずに待つってなんて長い時間なのだろうと…
本を読んでいても手が疲れてしまい長くは続かない。
音楽を聴いていても全然耳に入ってこないで上の空。
トイレに行きたくなるので水分も沢山は取れない。
そんな時隣の韓国人が話かけてきました。
『段々辛くなってきたでしょ?動かないとお尻も痛くなるもんね。』
『聞いていいかどうかわからないのだけれどご主人とはうまくいってないの?さっき処置室に行くとき酷いこと言ってたからびっくりしちゃって…』
『口は悪いけど優しい人なんだよ。本当は優しい…人なの。』
『そうだよね。でなきゃ体外受精なんてしないもんね。』
『私は昔卵巣嚢腫の手術して人より正常な部分が少ないから出来づらいの。それに主人も精子の数が少ないのと運動率も悪くて卵子に出会う前に死んでしまう可能性が多いの。二人してあまりいい状態ではなくて自然に出来るように頑張ってみたけど駄目で人工受精も試したけど駄目。色々検査もして見たけど異常はないから自然に出来るとは言われたけど…周りの…』
『今回は早く欲しいということもあって挑戦してみたの。怖かったけどあとは祈るのみ。』
『色んな事情はあるだろうけどここにいるみんなも子供がほしいという思いは一緒なんだよね。』
『でも体外受精は保険が効かないから失敗したからまたすぐ次ってわけにはいかないのもあるのよね。』
確かにその通り…保険が効かないのは金銭的に厳しい。
色々な話をしている内に時間があっというまに過ぎていく気がしました。
ただお尻や腰が痛くて早くこの態勢から解放されたい。
家に帰ってゆっくり落ち着きたい…
あともう少しが長い…
でもみんな同じ辛さを思い我慢している。
我が子の顔を見たいというその想いがこの病室に漂っていた。
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