神様と堕天

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西暦2150年。 世界中の莫大な消費に生産が全く追いつかず、各地で戦争が起こり始めた時代。 からかなりの時間が経ち、永久機関が発明され、戦争はとっくに終わり平和になっていた時代。 かつて「戦場の若草太郎」だなんて呼ばれ、その猛威をふるった人物が息を引き取ろうとしていました。 カラス ゴロウ 烏 吾郎さん(84) けっこう大往生でしかも基本ご近所さんとのコミュニケーションが無くて家族はみんな自分より先に逝ってしまっているので、枕元には誰もいませんでした。 彼は独り、思いました。 ああ、死ぬのはいいが、できれば死んだ後、天国へ行きたい……! 彼はとても信心深い人でした。 最近も、老いた体に鞭打って近所の神社にお参りしたばかりです。 ああ、天国へ行きたい天国へ行きたい天国へ行きたい! 彼は強く願いました。 神様に強く願いました。 そして彼はついに、息をしなくなりました。
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