担い手

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魔王配下に於ける主力兵力である操魔兵は、全身に鏃(やじり)を受け、四肢を失おうとも、核石を破壊あるいは摘出しない限り、活動を続ける化け物だった。 この化け物の前に、各王国騎士団の善戦虚しく、幾つもの城が墜ち、国が消えていった。 そんな折、とある小国へと着くと、魔操兵に襲われていた。 「まずいな…」 俺は銀に輝く大剣を手に、走り出した。 ―――――――――― 「姫様ぁ~、もう持ちませんよ~」 「民は既に避難しました、我々も撤退するべきかと」 「お前達は、それでも栄え有るアヴァロン王家の騎士か!!」 騎士らしき少女達に、壮麗な鎧姿の美しい少女が激を飛ばしている。 「騎士団と言っても私達二人だけですし」 「そぅそぅ! 今はもう国って言っても小さな街なんだしぃ、街の防壁が壊れたら終りだよぉ?」 「ここも、城と呼ばれているだけで、実際は木造の大きめな屋敷でしかないですし」 その時、防壁が崩れ、十数体の魔操兵が屋敷へと押し寄せた。 「あぁ~!!囲まれちゃうよぉ~!!」 「もう、手遅れですね」 「解りました、貴女達は逃げなさい。 例え私一人でも、この国を護ってみせます!!」 姫と呼ばれた少女は、そう言い残し、屋敷の外へ飛び出して行ってしまった。 「えぇ!?うそぉ!!」 「まったく……私達もいくわよ」 「ふぇ~ん、わかったぁ~」 ―――――――――― 俺が、防壁の内側に入り見たものは、木造の屋敷を背にした三人の少女が、満身創痍で二十体余りの魔操兵に囲まれている光景だった。 俺は即座に、手にした幻想銀(ミスリル)製の剣とリンクを繋ぎ、肉体を強化して魔操兵に切り掛かった。 幻想銀の刃で斬られた魔操兵は、核石は無傷のままに次々と瓦解して行く。 俺の魔操兵との初めての戦闘は、唖然とした数表情の少女達に見詰められながら、僅か数十秒で終りを告げた。
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