2人が本棚に入れています
本棚に追加
魔王配下に於ける主力兵力である操魔兵は、全身に鏃(やじり)を受け、四肢を失おうとも、核石を破壊あるいは摘出しない限り、活動を続ける化け物だった。
この化け物の前に、各王国騎士団の善戦虚しく、幾つもの城が墜ち、国が消えていった。
そんな折、とある小国へと着くと、魔操兵に襲われていた。
「まずいな…」
俺は銀に輝く大剣を手に、走り出した。
――――――――――
「姫様ぁ~、もう持ちませんよ~」
「民は既に避難しました、我々も撤退するべきかと」
「お前達は、それでも栄え有るアヴァロン王家の騎士か!!」
騎士らしき少女達に、壮麗な鎧姿の美しい少女が激を飛ばしている。
「騎士団と言っても私達二人だけですし」
「そぅそぅ! 今はもう国って言っても小さな街なんだしぃ、街の防壁が壊れたら終りだよぉ?」
「ここも、城と呼ばれているだけで、実際は木造の大きめな屋敷でしかないですし」
その時、防壁が崩れ、十数体の魔操兵が屋敷へと押し寄せた。
「あぁ~!!囲まれちゃうよぉ~!!」
「もう、手遅れですね」
「解りました、貴女達は逃げなさい。
例え私一人でも、この国を護ってみせます!!」
姫と呼ばれた少女は、そう言い残し、屋敷の外へ飛び出して行ってしまった。
「えぇ!?うそぉ!!」
「まったく……私達もいくわよ」
「ふぇ~ん、わかったぁ~」
――――――――――
俺が、防壁の内側に入り見たものは、木造の屋敷を背にした三人の少女が、満身創痍で二十体余りの魔操兵に囲まれている光景だった。
俺は即座に、手にした幻想銀(ミスリル)製の剣とリンクを繋ぎ、肉体を強化して魔操兵に切り掛かった。
幻想銀の刃で斬られた魔操兵は、核石は無傷のままに次々と瓦解して行く。
俺の魔操兵との初めての戦闘は、唖然とした数表情の少女達に見詰められながら、僅か数十秒で終りを告げた。
最初のコメントを投稿しよう!