1人が本棚に入れています
本棚に追加
雨が降る
冷たく降り注ぐそれは、誰かの悲しみのようにも思う
―その悲しみは誰のもの?
静かに天に問うてみた
―わかっているくせにね
嘲るように天は返した
―コレはお前の悲しみだよ
―僕の…悲しみ?
天の言う事が分からず、思わず聞き返した
―そう、お前の悲しみ…。縋るものも何もない、お前自身のね
僕は首を傾げた
何故天がそういうのか、僕には分からない
縋るものなんて、無くてもいい
僕はそう思っている
感情なんて、無くてもいい
僕はそう思っている
縋っても、何も得るモノがないのなら、
想っても、願っても、それが自分のそばに得られないのなら、
僕は、縋るものも、感情もいらない…
そんなモノ、必要ない…
そんな考えを持つ僕を嘲るように
大粒の温かい雨が
静かに、頬を伝った…
最初のコメントを投稿しよう!