encore.02「産業ロックは永遠に」

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 拍手が鳴りやんだ頃、草野もリリっくすに遅れてステージを後にする。  すると、ステージを下りた所でいつも通りマネージャーの丸子が待っていた。これまたいつもの笑顔で。 「草野さん、お疲れ様です。いやあ、今日の演奏も最高でした!」  丸子はそう言いながら親指を立ててウインクをした。爽やかなイケメンがするなら未だしも、この巨腹の男がするとやけにむさ苦しく感じる。  とりあえず草野は先に着替えてくる、と丸子に告げた。この後、香田里奈との仕事について丸子と打ち合わせをする事になっていたのだ。 「どうぞどうぞ……あっ!」  丸子は突然、気付いたように大きな声を上げた。草野の背後遠くに多紗の姿を見つけたのだ。その瞬間から丸子の目には既に草野の姿はなかった。その様子はそこらのアイドルオタクと変わらない。  そんな丸子を残して草野はさっさと着替えに向かうと、丸子も多紗の元に走り寄っていった。  ……これでは、どちらのマネージャーなのか分からない。 「多紗ちゃん、今日も最高だったよお!」  その様子にアイドルもまた大変な仕事なのだと草野は苦笑を浮かべた。
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