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「決まったんですよ、仕事が!」
電話の向こうのマネージャーのどや顔が容易に想像できる。しかし残念ながら、草野はそれに応えられない。むしろ、なぜそんな事で……しかもこのタイミングで電話をしてきた事に対する苛立ちの方が強かった。
「あれ? なんだか嬉しそうじゃないですね……」
その理由には、今の草野に与えられる仕事内容にある。今までの事からすると草野の本当にやりたい仕事――つまり、ロックとは無縁に限りなく近い仕事である事はとても容易に予想できたのだ。それは、例えば多くはアイドルのサポートギターだったりする。
しかしその草野の反応が悪い理由は、逆にマネージャーにも容易に予想出来た事だったらしい。
「草野さん。草野さんのリアクションが悪い理由は何となく分かりますが、今度は違うのですよ。アイドルの質が!」
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