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白い綺麗な毛並で鈴の付いた首輪をした猫がすやすやと気持ち良さそうに眠っている。
その猫に足音をたてないように静かに近づく1人の少女がいる。
少女はカールのかかったショートの髪
パッチリした二重
長いまつ毛
透き通る様な白い肌
スラリと長い手足
まさしく美少女と言うにふさわしい姿だ。
少女は静かに近づいた猫に真剣な顔でゆっくりと手を伸ばした。
その手が猫の体に届くという瞬間、猫は目を覚ましダッと逃げ出してしまったのだった。
「あーー!また逃げられた!」
少女は悔しそうに叫んだ。
「ドンマイ。次頑張れ」
そんな少女に少女の後ろで黙って立っていた少年はまったく心の込もっていない励ましの声をかけた。
少年は漆黒の闇の様な黒髪
細身の長身で長い手足のモデル体形といった感じの体
だが、髪は少し長めでボサッとした感じのうえ、黒縁眼鏡と相まって顔がよく見えず、野暮ったい感じがしてしまい「かっこいい」とは言いがたかった。
「まったく心の込もっていない励ましをドウモアリガトウ。はあーもう、晞琉(カワル)も手伝ってよ~」
「断る」
少女の頼みを晞琉は一言で切り捨てた。
「断るって、あのねー晞琉、あの猫を捕まえるのは部活にきた依頼なのよ。ぶ・か・つ・に・き・た・い・ら・い!
それを分かってるのふ・く・ぶ・ちょ・う」
少女は晞琉に詰め寄り言った。
「そんなことは分かってる。でも、猫を探して捕まえるなんて面倒なことしたくない。だから、引き続き1人で頑張ってくれ」
「か・わ・る!部活にきた依頼を面倒なんて言わないの!」
少女は語気を強めた。
「あー、はいはい。分かったよ謎嘩(メイカ)。手伝えばいいんだろ、手伝えば」
晞琉は諦めた様に溜め息を吐いた。
「ふふ、分かればいいのよ分かれば。さあー、それじゃまた猫を探そう!」
謎嘩は楽しそうに猫の逃げて行った方に走り出した。
だから、
「まったく。部員2人で部長も副部長も関係ないと思うんだけどな。はぁ、面倒だ」
と晞琉がつぶやいたことには気付かなかったのだった。
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