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俺と奈乃佳の出会いは偶然にすぎなかった。
あるオープンキャンパスにて。
あれは、よく晴れ渡った気持ちのいい日だった。
「うぉっ!」
「きゃっ!」
バサァ!
肩と肩がぶつかり、書類を片手で持っていた俺は運悪く、思いっきり床に落としてしまった。
思ったよりも大きい音が鳴り、近くを通っていた人の目が全てこちらに向けられる。
このやろぉ…。
この時天気と裏腹にナゼかイラついていた俺は、ぶつかった相手に対して嫌悪感を放ちまくった。
落としたのは自分なのに…。
「あっ!す…すみません!!」
俺が書類を拾っていると、謝りながらも屈んで一緒に拾ってくれた。
ふーん…根はいいヤツなのかも…
さっきまで怒っていた自分が嘘のように思えてくる。
イラついてたらこんな場合でも、『謝ったって許さねぇから』とか、『拾うのは当たり前だろ』とか…。
いちいち皮肉な性格になってしまう自分が嫌いだった。
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