~水牢~

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私は、変わり者という俗称を持つ。 そんな不名誉なもの、こちらから願い下げなのだけど、それについて回る人魚という比喩には、嫌悪した覚えは無かった。 初めに述べると、私は水が好きだ。海が好きだ。泳ぐのが好きだ。 とにかく、自分が水と戯れるその瞬間、冷たく五感を刺すそれがたまらなく快感だったのだ。 さて、今私は飛び込み台に立っている。 横には、水泳パンツ一枚を衣着した、丸刈りの男の姿。 彼はただ留まるばかりのつまらないプールの水を、けっこうな形相で見つめる。 私は今、高校の水泳大会の決勝の舞台に立っている。 私は先の彼の呟きを聞いてしまっていた。 緊張する。 それはもう、結構な事だ。 しかしどうにも、私にはそれが滑稽でしようがなかった。 喉元までこう、出かかった嘲笑を飲み込む方がむしろ緊張したほどだ。
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