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蒼白い月が冬の夜空を照らしている。
12月も下旬に差し掛かり、街はいよいよ冷え込んできた。深夜ともなれば、わざわざ出歩く者もいない。
川沿いの住宅街に隣接する大きな公園も、この時間帯は静かなものだ。
何もかもが冴えている夜の闇。動く物も一切なく、聞こえるのは川のせせらぎと葉の擦れる音のみ。
時折明滅する街灯だけが時の流れを感じさせる。
そんな静寂の中、一人の少年が立っていた。
少し肌寒さを感じそうな薄手のジャケットに浅葱色のマフラーで身を包み、瞑想するように目を閉じている。癖っ毛なのか纏まりなく伸びた髪に、優形の顔立ち。
友人と連れ立って夜遊びに耽るわけでもなく、少年はただ無人の公園に足をつけていた。
少年の目的はただひとつ。
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