周る刻

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「無事に産まれた子どもたちを見て、自分の時の事を思い出したよ。と言っても直接は見れなかったから、後で教えて貰っただけなんだけど、こんな風だったのかな、と。でもおくるみに包まれてる姿は懐かしかったなぁ」 父親が我が子を見るような穏やかな表情は、まだ独身の三人には不思議な感覚をもたらした。 「それから、母親の方も治療しようとして、彼女がカーユラの転生体だって気が付いたんだ」 卓に置いた手のひらを見つめているようで、ラシルの瞳は遠い記憶を思い出しているようだった。 「とにかく出産で弱った身体を何とかしなきゃならないから、家族に必要な薬草とか、滋養と増血を促す薬粥の作り方とか説明して、それで産後の様子を見に通うようになって、子どもの成長も楽しみで誕生日の贈り物とか持っていったりとか、付き合いが続いてたんだ」 話し終えたラシルが視線を上げると、三人とも複雑な表情で視線を落としていた。 「だから、その、カーユラの転生体だからってのもあったし、何か恥ずかしいだろ、こういうの」 頬を人差し指で掻きながら、仄かに赤くなる。 「すいません」 「ごめんなさい」 「申し訳ありません」 トラフ、ユール、ラカスの順に謝罪の言葉とともに深々と頭を下げた。 「いや、謝らなくてもいいんだけど、誤解は解けたろ?」 ラシルの確認に三人同時に頷く。 「つか、曾祖様って、ほんと、一途なんだってのがよおーく解りました」 「ここまでひとりの女性を愛する事が出来るんですね」 「一途…あ、愛する…て」 こっ恥ずかしい台詞を面と向かって言われて、再び、茹で上がってしまう。 「今更、照れても遅いですよ。壮大な惚気、ごちそうさまでした」 と、ラカスが止めを刺した。
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