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「…カーユラと約束したんだ」
うつ向いたまま、静かな声で話し出す。
「息を引き取る時に、守護者にだけはならないでくれと…頼んだ」
守護者の末路を知るだけに、それだけは譲れない願いだった。
自分を置いていくことを心残りにして欲しくなくて、先に冥府へ旅立つ者たちへ必ず告げた言葉だ。
「その代わり、輪廻の浄化を受けて生まれ変わったら、必ず会いに行くと、そして見守る、と約束した」
カーユラとだけ交わした約束。
生まれ変わる度に、転生体を探しだし、会える時は会い、叶わない時は遠くから見守るだけのこともあった。
この告白に、三人は驚きと共に罪悪感を覚えずいられなかった。
ラシルの一途な想いを汚してしまったような気分で、皆が目を伏せた。
長い時間を孤独に生きる運命を課せられてしまったのは、決して本人が望んだことでは無いことは歴代の長たちは解っていることだ。
親しき者たちが先立つ寂しさを紛らすために、転生体を探しだすことに何の咎があるというのだ。
それが最愛の者であったなら、なおのこと転生後、幸せに暮らしているか確認したいと思って何が悪いのか。
新たな人生を歩む姿を見ることで寂しさに慰めを求めたところで、誰が文句をつけられると言うのだろう。
「あの村の住人からの豊穣の依頼があって訪れた時に、急病人が居るから闇の館に連絡を頼まれたんだ」
豊穣の魔法は光魔法使いの代名詞とも言える魔法なだけに、村人が光魔法使いでは病人を癒すことは出来ないと考えたのは当然だろう。
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