トイレと恋と清掃と

第４話 知り合い以上友達未満

『今日も残業ですか。仕事できないんですか』

『ひ、ひどい！私だって精一杯っ････』

『冗談です。できてなきゃとっくにクビになってるだろ。ま、仕事ができてもクビになる人もいますしね』

またあるときは、

『今日も残業ですか。それ、この時間に食べると太りますよ』

千里がたまたま手にしていた、自販機で買ったばかりのジャムパンを指差して健太郎がいった。

『お、大きなお世話です！お腹へって仕事できないんだもん！』

『冗談ですよ、しっかり食べてさっさと仕事終わらせて帰った方がいいですよ。あなた、最近疲れてそうな顔してる』

あくまで知り合い以上友達未満。
それ以上でも以下でもない。

それでも千里は健太郎のﾄｹﾞﾄｹﾞした物言いの節々に少し優しさを感じ、せめて友達に昇格したいと願うようになっていた。