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睦月と最初に知り合ったのはユチョンだった。
そう、ちょうど1年前の昨日。ユチョンは鮮明に覚えている。
1stライブの後だった・・・・・
海で震えながら泣いていた睦月を、拾って宿舎に連れてきた。
何も話そうとしない彼女に、暖かいココアを入れて。毛布で包んだ。
まだ日本語がうまくでてこなくって、なんてなぐさめていいのか分からなくて苦しくて、ユチョンは隣に座って歌を歌った。知っている日本語の歌をありったけ・・・・・
彼女が泣き疲れて眠ると、ユチョンは仕事に行く準備をして、入れ違いで帰って来るメンバーに置き手紙をする。
【オレのおんな、てだすな! ユチョン】
それを部屋のドアに張り付けると、ポケットから車の鍵を取り出し家を出る。
現場に向かう車の中でも、彼女のことが気になったが、さっさと仕事済ませて帰ればいいと、腹をくくる。
ジェジュンは部屋の前で足を止める。
「なんだこれ?」
ユチョンの手紙を指先でトントンと叩き、その指を考えるように顎にあてる。
「あいつ、とうとう宿舎にまで女連れ込んだのかよ、、、、、しかもここ、俺の部屋でもあるんだけど、、、、、」
ジェジュンは部屋に着替えを取りに入る。
ユチョンのベットには確かに誰か寝ている。毛布を深く掛けているので顔までは確認できない。
「はあっ。俺の毛布、、、、、」
ジェジュンは着替えと枕を手に部屋をでる。後ろ手にドアを閉めようとして振り向くと、ベッドの上に彼女が起き上がっているのがみえた。
「あ、ごめん、起こした?」
「・・・・・」
返事はない。
「なんだ、俺たちと口聞くなって言われてるの? 無視しろって?」
彼女は”ぎゅっ”と毛布をつかむ。
「いいにくいんだけど、、、それ、俺の毛布、、、、、外せる状態ならもらえるかな?」
彼女がばっと、毛布を剥ぐ。
ジェジュンは一瞬ぎゅっと目を閉じ、おそるおそる目を開ける。
「ああ、、、服、、、着てたんだ。」
彼女の顔がみるみる赤くなる。そして、ジェジュンに向かって側にあった枕を投げつける。
「うわぁ、、、」
ジェジュンが一歩後ずさり、枕はジェジュンの足下に落ちる。
「なんだよ、、、ユチョンの女なんだろ。」
彼女はその言葉の意味を理解して、唇を噛む。
目にはうっすらと涙を浮かべ、ジェジュンを睨みつける。
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