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教室が近づくにつれて、僕の心臓の動きは激しくなる。
どうでもいいと思っていたはずなのに、どんどんと鼓動は激しくなる。
汗も滲んできた。
「ここがあなたの教室ね」
秋乃先生は2Eの教室の前で止まった。
「それじゃあ私が呼んだら入って来てね」
秋乃先生は教室のドアをガラッと開けて入っていった。
おはようございます、という声が中から聞こえてきた。
一人になった瞬間、緊張だけでなく孤独感にも襲われた。
今さらだけど、この教室の中には知っている人なんてもちろん一人もいない。
それに僕はそこまで社交的な人でもない。
僕は急にここから逃げ出したい衝動に駆られた。
しかしその時に、
「それじゃあ寺本くん入って来て」
と秋乃先生の若々しい声が聞こえてきた。
僕は逃げ出したい気持ちをどうにか押し込めて、ゆっくりと教室のドアを開いた。
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