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「ようこそ、ウィルゲムへ」
指揮官とおぼしき男から握手された。
ジスは、この雰囲気を持つ男が嫌いだった。
戦争を、金稼ぎや権力を振るう場所と勘違いしている奴だ。
名前は敢えて覚えなかった。
その後、ジス達はロランに艦内を案内されることになった。
「待ちなさーい!」
「やだよ~!」
女の子が走り回っている。
自分達よりも年下がいることに、ジス達は驚いた。
「おや、あなた方は……」
案内されている最中、女性に声をかけられた。
彼女から漂うそのオーラは、今まで彼らが味わったことのないものだった。
「ちょうど良かったです。
あなた方にもお見せしましょう」
そう言って急遽、ブリッジに集まることになった艦内のメンバー達。
もちろん、ジス達も混じっている。
「これから語ることは、異世界から来た貴方達にも関わりのある話です」
「ど、どうしてそれを……」
ジスが聞くが、ディアナはそれに答えずに目を閉じる。
そして静かに、つぶやく。
「さぁ……、
共に黒歴史を振り返りましょう」
ブリッジ内が暗くなる。
そして、壁に映し出されたのは、見たこともないガンダム達の映像だった。
「なんだよ、これ……っ!?」
「黒歴史……、
私は、そう呼んでいます」
一つの映像のサイズが、ピックアップされるように大きくなる。
『相手がザクなら人間じゃないんだ!』
声。
音声付きとはなんとありがたいことか。
「これまで、人類は幾度もの戦いを乗り越えてきました」
見たこともないガンダム達の中に、見慣れたものが混じっていた。
「DX!!」
巨大で長大な、二本の砲身を構えたソレ、パイロットはガロード・ラン。
「そしてこれが、今の歴史の終着点」
『目標を駆逐する!!』
ディアナが手を伸ばした先にいたのは、紅く輝いているガンダム。
「これから先も、私達の見えないところで、歴史は創られていくことでしょう。」
彼女はそう言って、ブリッジの明かりをつけた。
なにが起こったのか、よくわからなかった。
「貴方達はどうですか?」
ディアナが近づいてくる。
ジスは困惑する。
「なんのためにここに来たのですか?」
彼女の質問には、答えられなかった。
復讐のため、と言うことはできなかった……。
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