第5話 僕は誰も死なせません!

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「おらぁ!」 まずは手近にいる1機を墜とす。 ジスは辺りを見渡す。 こちらの数が少なく、若干キツイか? 「アリアス!下の奴らは任せた! メアリーは俺について来い! 飛んでる奴を叩く!!」 『了解!』 『下の奴らをって、数多い……、 ぬわぁぁぁっ!?』 なんか奇声を発しているやつがいるが、気にしない。 レオパルドなので、ちょっとやそっとの攻撃は問題ないだろう。 問題はメアリーだ。 初めての実戦で、エアマスターに乗っている。 装甲が薄い分、機動性で補わなくてはいけない。 今のメアリーに、それはできないだろう。 「メアリー、大丈夫か?」 『だ、だい…じょぶ』 通信を入れてみるが、案の定、声が震えている。 モニターに映しだされた彼女の手も震えており、ジスは確信した。 こんな状態では的になるのがオチだ。 さしずめ、エサマスター。 「俺の後ろをついて来い。 大丈夫だ。なんかあったら、俺が守るから」 我ながらクサイ台詞だと、ジスは思う。 だが、これくらいがちょうどいい。 『う……うん』 顔を赤くするメアリー。 通信を切った。 これ以上彼女の顔を見ていられない、ジスは両の頬をバチンと叩く。 「よし……、いくぜ!!」 ――――その頃、ロランはギンガナムと接触していた。 『来たか兄弟! どちらが優れているか、今こそ決する時だ!!』 「どうして貴方達は、こんな戦いをするんです!?」 改修したライフルを向けて、放つ。 それを余裕で避けられ、ライフル。 ∀のIフィールドが防ぐ。 『ディアナのような者に、我々の理念を、信念を!理解してもらおうとは思わんわ!! 邪魔をするなぁ!』 「くぅぅっ!?」 右腕を振り回すターンX。 なぜか、ライフルが真っ二つに斬られていた。 『なるほど……、 シャイニングフィンガーとはこういうものかぁぁっ!!』 手の平――手には見えないが、それは確かに『手』というマニピュレーターである――から、光の剣が精製されていた。 『貴様はここで死ねぇ!!』 シャイニングフィンガーが振り下ろされる。 ∀はそれをサーベルで受け止める。 いつまでも壊れたライフルを持っているわけにはいかない。 「僕は……!」 蹴り飛ばす。 相手はバランスを崩し、距離を取ることができた。 「僕は誰も死なせません!」 そして少年は、こんな戦いの中においても、不屈だった。
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