第5話 僕は誰も死なせません!

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「うおぉぉっ!!」 1機、斬り墜とす。 ロラン達が頑張っているのだ、我々が地上を抑えなくてはいけない。 『おらおらおらぁ!』 赤い、マユゲを持った機体――レオパルドと言ったか――が弾幕を張り、近づく敵を押し返していく。 一撃離脱のその戦い方は、したたかでありながら、腰が引いているようにも見えた。 「聞きたいことがある! なぜ我々を助ける!?」 通信を入れる。 戦闘中になにを話しているのか。自分でもよくわからない。 「別世界の我々を、助ける義理もないはずだろう!?」 近づく敵をライフルで牽制する。 DXほどではないが、この世界の機械人形相手なら、充分な威力である。 『確かに…、俺達には関係がない! 正直、俺だって逃げたくてしょうがないんだよ!! 初めての戦いが、怖くて怖くてしょうがないんだよ!!』 そう言いながらも、レオパルドは正面に立ち、攻撃から守ってくれる。 聞きたい。 そこまでする理由を。 『だけどな!目の前で戦争をしてる! そして、この自然を破壊していく…、 それを見過ごせるほど、俺達はヘタレでもねぇし、寛容でもねぇ! ただ、それだけのことだ!!』 なるほど…強い。 彼らは関係のないこの世界を、守りたいと言った。 そして、それを実行している……。 ならば、我々もそれに応えなければならない。 Iフィールドバンカーを起動させる。 これ以上、別世界の人間に迷惑をかけるわけにもいくまい。 「ユニバァァァァアス!!!」 ――――その頃、ジスはようやく、∀との合流を果たしていた。 「このやろぉっ!」 ビームを放つ。 ターンXは背中を見せている。 ジスは、それが直撃すると思った。 『当たるわきゃねーだろ!!』 だが突然、機体がバラバラに分離したのだ。 両腕、両足、胴体、そして頭。 すべてが意思を持つように動き回り、また合体する。 『このターンX凄いよぉ! 流石∀のお兄さん!!』 ギンガナムはその性能に歓喜する。 『くぅ……っ』 一方の∀は、ボロボロになっている。 白い糸のような物が∀を包んでいる。 前に聞いた、ナノスキンシステムというやつだろう。 『いくぞ兄弟! これで全て終わらせようではないか!!』 ターンXの背中から、巨大な羽が生える。 『月光蝶である!!』 狂喜するその蝶は、世界を破滅せんとばかりに羽ばたこうとする。 『僕は…、貴方を、倒します!!』 叫ぶ。 ∀の背中にも羽が生えた。 2匹の蝶が今、激突する。
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