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「く、そ……!?」
争う2匹の蝶に銃口を向けようとする。
だが、どうやってもターンXに狙いを定めることができない。
いや、狙い撃てたとして、撃ち落とすことはできないだろう。
ジスは、本能的に察した。
『まだまだぁっ!』
『あ、あなたはぁ…っ!』
明らかにロランが押されている。
出力が低下しているのだ。
「どうすればいい……?」
ジスは考える。
アリアスとメアリーに助けを求めようとした。
だが、アリアスを頼るにしても距離がある。
すぐに駆け付けてきてはくれないだろう。
メアリーはメアリーで苦労している状況だ。
これ以上の重荷を背負わせるわけにはいかない。
なら……、
「なにかないか…?」
方法を、探す。
コンソールパネルを叩き、武器を探す。
そして、唯一の方法を見つけた。
「サテライト……キャノン」
ジスは無意識に唾を飲み込んだ。
『過ちは、繰り返すな』
父親である、ガロードの言葉を思い出す。
この引き金を引けば、必要以上の犠牲を払わなければならないかもしれない……。
「覚悟を、決めろ」
つぶやく。
大丈夫だ、自分にそう言い聞かせる。
「ロラン、こっち来い!!」
叫ぶ。
∀がターンXから距離を取る。
『どうしたんですか?』
「話があるんだ」
DXはウィルゲムの方を指差す。
ロランは首を傾げる。
「みんな、ほんの少しだけでいい!
俺とロランのために時間を稼いでいてくれ!!」
DXと∀がバーニアを吹かし、下がっていく。
『逃がすものかっ!!』
ターンXが追いかけてくる。
『我々を舐めるな、ギム・ギンガナムよ!!』
赤い、球状の体をした機体が、ターンXの前に立ち塞がる。
『コレンさん!』
『語り継いでくれ…、男の生き様を!!』
コレンと呼ばれた男は、金棒のようなドリルのような武器を持って、破壊神に立ち向かっていく。
『――すいませんっ!』
少年達は勇者に頭を下げ、その場を後にした……。
――――DXと∀がウィルゲムに着いた。
「ケーブル繋いで……、
よし、OKだ」
まさか∀を艦に乗せるわけにもいかず、ウィルゲムの傍で待機させる。
そして、DXと∀をケーブルで接続した。
「……イケそうだ」
エネルギー充填、100%。
ジスはGコンのもう一つのスイッチを押す。
それは……、サテライトシステムを起動させるスイッチ。
ガシャ、ガシャン……。
DXが肩に大砲を背負う。
「さぁ…、いくぜ!」
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