第5話 僕は誰も死なせません!

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『見つけたぞ! ここで死ねぇっ!!』 1匹の蝶が、∀とDXに向かって飛んでくる。 まだ、距離がある。 大丈夫だ。ジスはつぶやく。 「射線軸上にいる全てのMSは退避しろっ!! 今すぐだ!!」 全ての機体が逃げていく中、ターンXは尚も接近してくる。 『ジスさん!!』 ロランが叫ぶ。 まだ大丈夫だ。何度めか、つぶやく。 『うおぉぉぉぉっっ!!』 「俺達の世界みたいな悲劇を、繰り返させるもんかっ! ツインサテライトキャノン! いぃっけぇぇぇぇぇっっ!!」 目の前にいる蝶に向かって、DXが咆哮し、その体を狙い撃つ。 『ば、バカなっ!? これほどの、出力がぁぁぁ……っ!!』 ターンXは為す術も無く、融解していく。 そしてやがて、悪魔の叫びは、蝶を跡形も残さず、その周囲一帯を消滅させた……。 ――――戦いは終わり、ミリシャの仲間達は宴会を開いていた。 「凄かったですね、あの兵器」 ロランとジスは宴会場の外で会話していた。 ――あの後、ロランは∀を地中に埋めてしまった。 『こんな兵器は、もう必要ありません』 確かに、とみんな頷いた。 「あれは、あまり使いたくなかったけどな」 ジスはため息をついた。 ∀の無尽蔵に溢れる謎のエネルギー――月光蝶システムのエネルギーだ――をサテライトキャノンに使った結果、ターンXの周囲一帯を焼き払ってしまったのだ。 その場の自然は失われ、多少なりとも、犠牲を生んでしまった。 「でも、貴方達のお陰で、この世界は救われました。 ありがとうございます」 スッ……と手を出すロラン。 ガシッ、とその手を取るジス。 お互いに笑う。 「じ~す~っ!」 突然、後ろからジスに抱き着く少女。 メアリーだ。 どうやら酔っているらしい。 「なんで酔ってんだよ!?」 「そんなことどうでもいいじゃん…! どーしてもっと私のこと気にかけてくれないの!?」 わぁわぁ叫びながらジスの首を絞めるメアリー。 「ぐ…ぐるじ……!」 「あはは……」 苦しむジスを見て、ロランは苦笑する。 ロランは空を見上げた。 満月の輝きが、眩しい。 「そうだ、ジスさん……!」 ロランが横を見た時、ジス達はいなかった。 宴会場でも、アリアスが突然いなくなったらしく、大騒ぎしていた。 ロランは再び空を見上げた。 「また……、会えますよね?」 小さな呟きが、涼やかな風に溶けていった……。
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