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「え~と、ここがこうなって…と」
格納庫についた三人は、各々に与えられた訓練用のドートレス改のメンテナンスを行っていた。
修理などは教師達が頼んだ業者のものがするが、コクピットで行うメンテナンス作業は、自分達でやるように言われていた。
「ジス」
モニター画面から映像が映り出された。
メアリーからだった。
「どうした?」
ジスが聞くと、顔を少し赤くして、こう言った。
「学校終わってからさ、あそこの屋台のクレープ…食べに行かない?」
「あ、あそこのか
いいぜ、行こう」
ジスは笑って言った。
それを聞いたメアリーが笑顔になった。
「うん!それじゃあ、また後でねっ!」
そう言うと、通信が切られた。
ジスは再び、点検作業に取り掛かる。
「よし、準備のできた者から前に…」
教師がそう呼びかけた瞬間、近くから爆発音が聞こえた。
「なんだ!」
「なにかあったのか!?」
生徒達がザワつきだした。
「みんな落ち着け!
シェルターの中に入っていろ!」
教師がそう言うと、皆が我先にとシェルターに入っていく。
「バルチャーだ…」
ジスはつぶやいた。
最近は少なくなっているが、やはり出てくることがあるらしい。
ジスがバルチャーに会ったのは、これで2回目だ。
教師達がドートレス改に乗り込んでいく。
「無茶だ」
ジスはまたつぶやいた。
さっきの爆発音を聞く限り、相手はビーム兵器を持っている。
「ジス…まさか、自分も行こう、とか思ってないわよね?」
メアリーがジスを呼び止めた
ジスがメアリーの方を向く。
「知ってるだろ、俺は…伝説のモビルスーツ乗り」
「の息子でしょ」
メアリーがため息をつく。
「大丈夫だ
絶対、後でクレープ食いに行こうな」
メアリーの顔が真っ赤になる。
ジスは走って、自分のドートレス改に乗り込んでいった。
このドートレス改には少し工夫が施されてあり、威力が低いが、ビームライフルを所持している。
右腿の側面部にはナイフもある。
『落ち着け…』
ジスはそう、心で繰り返した。
ガロードにはMSの操縦技術を叩き込まれている。
傍にあったシールドを手に持ち、ドートレス改が外に向かって歩き出す。
その度に『ガシャン…ガシャン…』と鈍い鉄の音がする。
ジスは大きく息を吸って叫んだ
「ジス・マリノス!
ドートレス改、いくぜ!」
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