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その後が散々だった。
教師には怒鳴られるわ、ドートレスの修理費用を請求されるわ、両親を呼ばれるわ…
「ちくしょー!」
と叫びながらジスは走っていた。
結局、ジスはメアリーとの待ち合わせ時間にすっかり遅れてしまうこととなった。
「め、メアリー!」
一人ベンチに座っている女の子が居た。
その女の子に近づいていく。
「ジス…!」
暗い表情だった女の子は、ジスを見てたちまち笑顔になる。
「わるいな…
教師達がうるさくってさ」
「そりゃあ、あそこまでしといて、お咎め無しなわけないわよ」
メアリーは呆れながら、笑っていた。
「ま、いいや
今日は俺がおごってやるよ
少し金多めに持ってるし」
ジスはそう言って、メアリーの頭に手を乗せた。
ジスとメアリー、アリアスの三人は幼なじみであり、親友でもある。
その時からずっと、ジスはメアリーの頭を撫でるのが癖になっていた。
「いや、その辺は心配無いから」
メアリーはそっぽを向きながら言った。
「どういうことだよ?」
ジスが尋ねると同時にメアリーは立ち上がり、クレープの屋台に向かった。
そして店員と何か話して、すぐに戻ってきた。
両手にはクレープが握られている。
「あ…何を話してたんだ?」
「秘密よ。
ほら、こっちあげる」
顔を赤くしたまま、ジスにクレープを手渡した。
チョコアイス乗せチョコミントだ。
メアリーはいちごアイス乗せチョコバナナクレープだった。
「金は…」
「だからいらないってば
…おいし~」
メアリーが満面の笑みを浮かべる。
ジスもクレープにかぶりついた。
「うまい」
*********
「今日はありがとな」
ジスはメアリーの頭をぐしゃぐしゃと撫でた
「き、気にしなくていいから」
メアリーは顔を赤くしている。
ジスが頭から手をどけた。
「め、メアリーっ!?」
その時、メアリーがジスに抱きついた。
ジスはいきなりのことで、思わずたじろぐ。
「私…私さ
ずっと…言いたいことがあったんだ」
不思議な空気が二人を包む。
周りには誰もいない。
世界中で二人だけになったような錯覚さえ起きる…
「私…ジスが好き
子供の頃から…ずっと……」
メアリーが震える声で、自分の気持ちを告白した。
「メアリー…」
ジスもメアリーを抱きしめ…
「俺も…好きだ」
自分の気持ちを打ち明けた…
鮮やかな夕日が、二人を照らしていた…
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