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「あ、あの、ここ私の家なんです。家の前であなたが倒れているのを見つけて、放っておくのも心配だったから……運んだんです」
男は、鋭い瞳で辺りを見回している。彼女の言葉に嘘はないか、確認するかのように。
(うう……、どうしたら?)
何とか不安にさせまいと考え、笑顔を見せてみる。だが、一向に彼の表情は和らがない。
静かに少女を見つめると、先ほどよりも落ち着いた表情で
「……寝かせてくれて、ありがとう。失礼する」
と告げた。そして、よろめきながらも立ち上がり出ていこうとする。
しかし、少女の心は彼を心配する気持ちで未だ溢れていた。
(このまま帰すなんて……できるわけないよっ!!)
思いは、彼女を突き動かす。
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