純な巡り合わせ

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「あれ!?若い……。が、外国人かな?」  中腰になり、視界を邪魔する髪を左手で耳にかけながら、男を覗き込む。  そう、倒れていたのは、おじいさんではなかった。白髪のような銀髪をしていたので見間違えるのも無理はない。  しばし、倒れてびくともしない男をまじまじと見つめていたが、このまま見ていても仕方がないと思い少女は首を降った。  まず、確認しなければいけないことがある。  倒れている銀髪の横にしゃがみこむと、男の口元に少女は、恐る恐る女の子らしい華奢で小さな手を当てて、息をしているか確かめる。すると、かすかな鼻息が少女の手のひらをくすぐった。 (寝てるのかな。)  少女は、小首を傾げる。濃いキャラメル色をした髪が、さらりとこぼれた。
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