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こんな対処でいいのか少し不安に感じながらも、いざ運ぼうと立ち上がった。
「んぐっ……うぅ~…」
少女は、背中に担ぐように、男の腕を自分の首へ回し、ズルズルと引きずっていく。
思いの外、大人の男というものは重い、その事実に驚きながらも懸命に、家へと向かう。
その姿は、端からみれば――酔っぱらいの介抱か、大変だな。と思われるに留まるだろう。
ただ、不審な点といえば、彼の見事な銀髪くらいだ。
遠目でみたそれは、日の光を浴びてキラキラと輝いているようで、立派な白髪のように見えた。
少女は、片手でドアを開け渾身の力を振り絞り、男を玄関まで運ぶ。
「よ、いしょっ――」
――ガゴンッ!?
鈍い音が、日の沈みはじめた夕焼けの空に響いた。
「あ……」
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