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玄関を抜け、なんとか家の中へ運び込むことに成功した彼女。その顔には、小さな安堵と疲れが見えた。
綺麗に片付けられた簡素なリビングの床に男を寝かせると、近くに転がっていた熊の顔を形作った可愛らしいピンクのクッションを、もそもそと、銀髪の頭の下に置いた。
「……ふう」
ひとまず、生き倒れの不法入国者、かもしれない男の"安全"を確保できたことに満足の息を漏らした。
白い壁沿いの木製のドアを引くと、洗面所と洗濯機がすぐ前にあり、左はトイレ右は浴室となっている。
少女は、洗面所の前でブレザーの袖口を折り、手に滲んだ汗を洗い流す。冷たい水が、両手を引き締めた。
そして、洗面所の横にかかったプーさ○の柄つきタオルで手をふくと、リビングに戻った。
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